自殺の理由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 23:17 UTC 版)
自殺の理由について師の菊地又男は、純子が好奇心や感情の赴くままに男性たちと戯れており、忍耐や自制を重んじる菊地自身が彼女の行動に耐えきれずに師弟関係を解いたことで、純子が生きる方向や支えを失い、人生から脱線していたと見ている。阿寒湖畔に死去したことについて、菊池は自身が阿寒湖の魅力を純子に教え、その阿寒湖の素晴らしさゆえに、純子はそこを死に場所に選んだと見ている。 姉の加清蘭は、純子が芸術活動の上で行き詰まったこと、交際相手とのトラブル、周囲から「天才少女」と称賛されたことに対する重圧などの可能性を示唆している。弟の暮尾淳も、周囲から将来を期待されたものの行き詰ったことでの自殺と推定しており、「姉は死と戯れているようなところがあった。自殺を初めから考えていたのではなく、道に迷い、死ぬならここでも良いと思ったのでは」とも語っている。『毎日新聞』では「札幌の文学グループで数名の男性たちと交際しており、その男女関係を精算したもの」と推定する記事が報じられた。また純子が札幌を発ったのは、同時期に最後の恋人とされる岡本昭彦が医師法違反で勾留されたためとする見方もある。 一方で文芸評論家の山下武は、そうした芸術活動上や男性関係での解釈を月並みの解釈とし、純子が自分の交際相手たちに、18歳当時の自分の姿を強く印象付け、永遠にその姿を留めるために自殺した可能性を示唆している。札幌を発つ前に交際相手の家々に花を遺すとの、芝居がかった振る舞いからも、そうした心理が垣間見えるとしている。 渡辺淳一は「若い時から背伸びしすぎて疲れたのか」と語っているが、その一方では、純子はもともと自殺願望があったとも語っている。純子の生前、渡辺がそうした彼女の心情を知らずに、「死のうかな」と呟いた純子に対して、「死ねないくせに」と言い返したことがあった。後に渡辺は「どうだ、死んだでしょ」と言われる夢を見たという。また渡辺は、純子が若さの輝きのまま自らを封印した可能性も示唆しており、「燦然たる頂点のまま死ぬのは素晴らしいことだ」「結局、純子が愛していたのは彼女自身だったのだと思う」とも語っている。 岡村春彦は、純子の失踪当時に自殺の可能性を示唆する周囲の声に対し、自殺の原因が見当たらないと主張していた。後年のテレビ番組においても自殺を否定し、「死に走る材料は見当たらない。吹雪の中をどのくらい歩けるか、ぎりぎりの感覚に自分を立たせ、そう生きるんだと自分を追い込んだかもしれない。そうなら自殺とは言えない」と証言していた。
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