自傷・自殺関連行動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 09:58 UTC 版)
「境界性パーソナリティ障害」の記事における「自傷・自殺関連行動」の解説
自傷行為の多くは心理的苦しみを軽減するために行われるが、自傷行為が発展し実際に自殺を招くこともあり、イギリスではBPD患者の60-70%が人生のある時点で自殺を試みると推計されている。アメリカの調査では、BPD全体での自殺完遂率は9 - 10%と極めて高いものとなっており、東京都立松沢病院の調査では、入院していた患者の退院後2年以内の自殺企図率は、うつ病や統合失調症の人が35%なのに対し、BPDでは67%と約2倍高いという結果であった。 DSM-IV-TRでは、数ある診断名の中で自傷行為を取り扱っているものはBPDのみであるが、リストカットなどの自傷行為を行う者がすべてBPDというわけではない。自傷行為を伴いやすい他の精神疾患としては、うつ病や双極性障害などの気分障害、統合失調症、解離性障害、他のパーソナリティ障害、アルコールや薬物依存などの物質関連障害がある。 A.R.ファヴァッツらの調査では、自傷行為を行う者の中で、BPDの診断に該当した者は全体の半数にも満たなかったという。日本での報告としては、自殺関連行動で入院した患者の53.8%がBPDと診断されている(重複診断を含む)。なお一度でも自傷行為を行ったことがある患者については75%に達しており、パーソナリティ障害の中では最も自傷行為と関連性が深いとみられている。 BPD患者の自殺企図の多くは大量服薬によるもの(78.3%)である。他の精神疾患の患者の自殺企図でも、大量服薬のケースは55.4%と比較的多いのだが、自殺企図の動機として、他の精神疾患の患者が「重篤な幻覚や妄想」「社会適応上の悩み」「人生の破綻による自暴自棄」などであったのに対し、BPDでは「近親者とのトラブル、裏切りによるうつ状態」「居場所が無く追い詰められた危機感」などの対人面での“見捨てられ感”から行われるという違いがある。
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