胞子嚢柄の成長に関して
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 06:19 UTC 版)
このカビの胞子嚢柄が、菌糸としては極めて太く、しかもその成長が早く、その上はっきりした正の屈光性を示すことから、これらの現象についての研究材料として用いられた。 光に関しては、胞子嚢柄が円柱形のレンズとして働き、光の当たった方向の反対側の壁を照らすことで、その部分の菌糸壁の成長を促進する効果が生じることが知られている。たとえば胞子嚢柄の周囲を屈折率の異なる液体で満たせば、それによってその効果を変えられることが知られている。また、有効なのは青色光を中心とする一定波長の光であることが知られている。なお、このカビの光への反応性の高さは特筆すべきもので、「多くの植物や菌類は満月が感じられる程度だが、ヒトやこのカビは星が見える」旨をCerda-Olmedoが記しているとのこと(Alexopoulos et al. 1996)。 胞子嚢柄の成長については、いくつかの段階に分かれることが知られている。最初は胞子嚢柄先端が伸長し、その後、いったん成長を止め、先端に胞子嚢が形成される。胞子嚢の完成後は、胞子嚢の下方の一定領域で伸長が起こる。また、この間に胞子嚢柄が回転運動を行うことも観察されている。胞子嚢の形成までは時計回り、その後しばらく回転を止め、形成後の伸長時には逆回転となり、しばらくそれが続いたあと、さらに回転向きが逆転する。これらの現象の原因等についてはわかっていないことが多い(ウェブスター/椿、1985、p.197)。
※この「胞子嚢柄の成長に関して」の解説は、「ヒゲカビ」の解説の一部です。
「胞子嚢柄の成長に関して」を含む「ヒゲカビ」の記事については、「ヒゲカビ」の概要を参照ください。
- 胞子嚢柄の成長に関してのページへのリンク