耐性機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/23 09:06 UTC 版)
「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」の記事における「耐性機構」の解説
ペニシリン系抗生物質をはじめとするβ-ラクタム系抗生物質は、細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンの合成を阻害することで作用する。これに対して、従来のペニシリン耐性ブドウ球菌はペニシリン分解酵素を産生することで薬剤耐性を獲得した。そこでこれらの細菌に対しても有効な、ペニシリン分解酵素によって分解されない薬剤が開発された。これがメチシリンであり、ペニシリン耐性菌の治療に効力を発揮した。 しかしながら MRSA は、従来のペニシリン耐性菌とは別の戦略を採ることでメチシリン耐性の獲得に成功した。MRSA は従来のブドウ球菌とは異なり、β-ラクタム剤が結合できないペプチドグリカン合成酵素(PBP2')を作ることでβ-ラクタム剤の作用を回避する。この PBP2' というタンパク質はmecAという遺伝子にコードされているが、この遺伝子はDNAカセット染色体と呼ばれる部分に、他の薬剤耐性遺伝子とともに集まっており、ある菌から他の菌へ種を超えて伝達されることが解明された。 一般に薬剤耐性を獲得した細菌は、薬剤感受性の細菌に比べて増殖が遅い傾向があり、MRSAもペニシリン感受性の黄色ブドウ球菌に比べると増殖が遅い。
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