耐性菌の出現とPK/PD
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 01:19 UTC 版)
「PK/PD理論」の記事における「耐性菌の出現とPK/PD」の解説
MIC以上の濃度で抗菌作用があらわれることは前述のとおりであるが、たとえMIC以上に血中濃度を保っていたとしても生き残る菌が存在する。それらの中には突然変異により薬剤に耐性を獲得してしまうものもある(いわゆる耐性菌)。耐性菌は自然環境下においても少ないながら生まれているが、抗菌薬の不適切な使用は耐性菌出現率を上昇させる因子となる。耐性菌の出現を抑えるためには確実に殺菌を行わなければならないわけであるが、そのためにはMICよりさらに高い変異株出現阻止濃度(MPC)にまで濃度を上げる必要がある。言い換えれば、MIC以上MPC以下の領域で耐性菌が生まれる可能性がある事になる。この濃度領域を耐性菌選択濃度域(MSW)と呼ぶ。MPC/MICが小さい、つまりMSWが狭いほど耐性菌が生じにくいと言える。 これまで1日複数回投与だったニューキノロン系抗菌薬であるレボフロキサシン(LVFX)が2009年より1日1回に用法が変わった。例えば今までの用法で1日3回投与を行った場合、血中濃度は1日に3回上下を繰り返すわけであり、MSWを通過する時間も長くなるため耐性菌が出現しやすくなってしまう。そこで考案された1日1回投与法はMSW通過時間(Time inside MSW)も減少する上、高いCmaxも得ることができるため、より有用な投与法であると言える。
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