考えと評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 04:30 UTC 版)
「歴史の面白さは、そのプロセス(過程・経緯)にある」と捉え、そのプロセスをいかに正確にわかり易く伝えるかに心をくだき、史料の扱いに対し厳しい考え方をもっていた。いたずらに想像を加えて歴史を創作することは、歴史家としての自負が許さなかった。膨大なアーカイヴズの森に分け入って、こつこつとそれを読み解くことにより、おのずからうかびあがる歴史の真情と人物の実像をひたすら探求した。史料を超え想像力が翔んでゆく小説作家とは、一線を画す歴史家の本領があった。自身も著書『書書周游』で、石川淳の文学方法論に関連して、歴史ということばと、小説ということばの間に吹く隙間風について述べている。またありきたりともいえる史料をもとに作者の恣意な解釈をまじえる、いわゆる歴史小説が陥りやすい著述を警告すると共に、史料の中に没頭して精神を見失うことのないよう自らを戒めている。こうしたストイックともいえる執筆態度と、節度を保ちつつ歴史と人物を活写する文章が高い評価を受けている。
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