総合診療医の整備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 19:34 UTC 版)
「総合診療医」、「プライマリケア」、「主治医」、および「ドクターショッピング」も参照 患者は診療所よりも大病院を好み、また診療所の医師を信用していないため、大病院の専門医を頻繁に受診する傾向があり、「患者は単なる風邪で長時間待ってでも大学病院を受診することがある」と報告されている。OECD国の多くでは、患者が専門医を受診するには先ずプライマリケアを担当する総合診療医(GP)から紹介を受けなければならないが、日本にはこのような直接受診を防ぐゲートキーパー制度がなく、そのため患者は総合医・専門医を問わず、医学的に必要があろうとなかろうと、どの医療機関にも自由に全額保険適用で受診できる現状にある(フリーアクセス)。応召義務もあって医師の負荷は高く「3時間待ちの3分診療」を引き起こしている。 また病院と診療所の機能分化が不十分である。例えば、病院の外来治療費が診療所より安い事、診療所に専門検査機器が無いため病院に検査紹介され患者としては二度手間になる事などにより病院へ外来患者が集中し易くなっている。元来の医療計画において、病院は急性期医療と高度医療を受け持っているのだが、経過観察が必要な慢性期医療の患者も多く受診し、病状による区別が不明確になっている。不必要な専門医受診を防ぐゲートキーパー制度を導入し、また総合診療医の数を増やし、かつ専門医の役割を明確にするようOECDは勧告している。 2013年には社会保障国民会議が、紹介状なしの大病院受診に対して初診料自己負担を課すことで機能分化を誘導するよう勧告し、保険外併用療養費制度が設定された。これは保険より給付されない自己負担である。2014年の診療報酬改定では主治医機能に対しての算定が新設され(地域包括診療)、さらに医療法改定にて「国民は、良質かつ適切な医療の効率的な提供に資するよう、医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携の重要性についての理解を深め、医療提供施設の機能に応じ、医療に関する選択を適切に行い、医療を適切に受けるよう努めなければならない(第6条の2)」と定められた。
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