絵画から噴水まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 09:50 UTC 版)
「プエル・ミンゲンス」の記事における「絵画から噴水まで」の解説
ローマ時代は、プエル・ミンゲンスが描かれる場面といえば、子供用の棺にかたどられるバッコス神の祭礼が主だった。ルネサンス以降、プエル・ミンゲンスは宗教的な場面に限らず、装飾写本やフレスコ画、厄除けのお守り、噴水装置にいたるまで、様々な媒体にみられるものになった。 すでに述べたように、多産や豊饒を暗示させることから、プエル・ミンゲンスはデスコ・ダ・パルト(英語版)(生誕盆、誕生盆とも)にも描かれている。これは、男児の安産祈願・出産祝いの品として、妊婦や出産を終えたばかりの女性に贈られた盆である。また、ロレンツォ・ロットの『ヴィーナスとキューピッド』に見られるように、結婚した夫婦に贈呈されたであろう作品においても、小便をする少年が主題となりえた。 プエル・ミンゲンスは、人工の噴水として、ペニスから水を噴き出す彫刻の姿で表現されることでも知られる。美術モチーフとしてのプエル・ミンゲンスは古代ローマ起源であるものの、この時代の噴水にプエル・ミンゲンスをかたどったものが存在したことを裏付ける史料は非常に少ない。しかしながら、古代ローマには、成人した神であるプリアーポスが小便をしているかのような仕掛けをもった彫刻が制作されており、そこからインスピレーションを得てルネサンス期に小便をする少年の噴水が生まれた可能性はある。人工の噴水は、ヨーロッパにおいてはブリュッセルの小便小僧が置かれたような公共空間だけではなく、私的な空間である邸宅の、16世紀、17世紀頃の庭園にも設置されていた。
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