絞首刑の医学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/26 15:28 UTC 版)
頸部に索条をかけて、体重をもって懸垂すると(縊死)、絞縄の長さや結び目の位置の調節などの手順が適切になされた場合、左右頸動脈と両椎骨動脈を完全に圧塞され、脳虚血から脳死を起こし、最終的に心臓も停止する。懸垂時に脊椎骨が骨折すれば、延髄の損傷によって身体機能が停止し、同様に脳死から心停止がもたらされる。 絞首刑は、比較的安楽に死をもたらす死刑の執行方法であると考えられており、1952年に、東京大学名誉教授で医学博士の古畑種基は、ある事件の鑑定書において、絞首刑によって受刑者は一瞬で意識を失うと論じた。日本の裁判所はこれらの研究成果を支持しており、絞首刑の執行が、薬殺刑などに比べて残虐というに当たらず、日本国憲法に違憲であると判断できない結論に至っている。 ただし、不適切な執行が行われた場合はこの限りでない。絞首刑を残虐刑とするオーストリア法医学会会長のヴァルテル・ラブルによると、縄が短すぎる等して脳虚血に至らなかった受刑者は、長くて2~3分間は意識が消失せず、窒息によって多大な苦痛を味わう。逆に縄が長すぎる等して過剰な負荷がかかれば、首が切断される事故を招くこともある(後述)。またラブルは、懸垂が最適に行われた場合でも、受刑者の意識が失われるのは、執行開始後最低でも5秒から8秒と分析している。
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