結晶化に纏わる都市伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 04:30 UTC 版)
「グリセリン」の記事における「結晶化に纏わる都市伝説」の解説
生物学者ライアル・ワトソンの1979年の著書Lifetide(邦題『生命潮流』)にて書かれていた事実無根の逸話が、様々な引用・脚色を経て、同じくワトソンによって創作された「百匹目の猿現象」と共にシンクロニシティの代表的伝説となっている。 ワトソンによる逸話は以下のとおり。 グリセリンの発見から100年以上、どのようにしてもグリセリンの結晶化は起こらなかった。 20世紀初頭のある日、ウィーンからロンドンに運ばれる途中の一樽のグリセリンが偶然に結晶化した。 この樽から小分けしたグリセリンを受け取った化学者の試料は18 °Cで固体になった。 熱力学に詳しいある二人の科学者もこのグリセリンを受け取って結晶化に成功すると、実験室の全グリセリンが密閉容器内のものを含めて自然に結晶化した。 その後、グリセリンの結晶化は世界各地でありふれたものとなった。 しかし『生命潮流』で参考文献とされていた、カリフォルニア大のギブソンとジオークが書いた論文(1923年)には、グリセリン結晶を作る際のコツが記述されているのみである。 グリセリンは世界中の科学者がどのようにしても結晶化しなかった。 ギブソンとジオークも、イギリスの偶然結晶化したグリセリンを入手した。 グリセリン結晶が到着した後であったが、ギブソンとジオークは温度管理をすることで種結晶なしでも結晶を作ることができるということを発見した。 グリセリンを −193 °Cに冷却後、1日以上の時間をかけてゆっくりと温度を上げ、17.8 °Cにすることで結晶化する。 要するに元来グリセリンは、種結晶がなくとも、上記の温度管理手順に従えば結晶化できるのである。なお、グリセリンではなくニトログリセリンにおいてこのような逸話が語られることもあるが、ニトログリセリンの場合は8 °Cで凍結し、14 °Cで融けるため無論事実ではない。(ニトログリセリン参照)
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