結婚を境に変化するアスペルガー症候群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 05:32 UTC 版)
「カサンドラ症候群」の記事における「結婚を境に変化するアスペルガー症候群」の解説
アスペルガー症候群男性は結婚すると大きく2つに分かれる。ひとつは、関係性が変化することを受け入れられず、恋人同士のままのパターン。もう一つは、正式な夫婦になると、それまでとは全く違う態度をとるパターン。どちらも、パートナーをどのように捉えたかで決まる。 恋人同士のままの場合は、パートナーを恋人として認識したことが変化しないので、子どもができると問題が生じる。夫にとって妻は恋人であり、子どもの母親ではないのである。夫は恋人を子どもに取られたことにショックを受け、妻に裏切りを感じ、子どもをライバル視する。妻が子どもに愛情を向けることを制限したり、子育ての手伝いは全くしてくれず、妻は1人で子育てをしているような孤独な気持ちになる。 一方、夫婦となった途端に態度が変わる夫は、結婚後は妻を他者として認識しなくなるようだ。これまで妻にしてきたこと、言ってきたことを全くしなくなる。もはや妻の気持ちを配慮する必要はないのだ。そのため会話もなくなり、むしろ独りでいたがり、妻は孤独に陥る。妻からの否定は裏切りになる。 周囲からは「自分が選んだのだから」「そこが好きだったのでしょう」と言われがちだ。しかし、これほど気持ちがすれ違い、一緒にいるのに孤独になることなど誰にもわからなかったのだ。(滝口のぞみ) 一般に他者に共感するということは、社会の特別な要請でもなく、目的化することでもない。しかし、暗黙に社会から必要とされることだ。アスペルガー症候群の人たちには目的にならなければ積極的に行動を起こすための動機にならないというところがある。社会から要請される目標や課題はアスペルガー症候群にとって理解しやすいが、妻との間で必要になる配慮は、結婚した後には目的や課題にはなりにくい。たとえば、アスペルガー症候群の男性が子育てをするためには、社会的にそのことが評価されることが重要である。アスペルガー症候群の男性は無意味なこと、無目的なことをすることが苦手だ。妻が喜ぶ顔だけではなかなか子育ての動機づけにならない。子育てを継続的に行うには、自分でやる方が得だといった経済的なメリットを確信していることや、病院や学校で医師や教師から評価される必要がある。(宮尾益知、滝口のぞみ)
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