細胞内への高分子医薬品の取り込みと分解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/07 14:08 UTC 版)
「高分子医薬品」の記事における「細胞内への高分子医薬品の取り込みと分解」の解説
高分子医薬品は血中速度が比較的速い臓器である肝臓や腎臓における代謝により体内から消失するケースが多くみられる。高分子医薬品の消失メカニズムとしては、上述した血中・組織表面の分解酵素による分解に加えて、細網内皮系に属するマクロファージや単球など異物の貪食能を有する細胞群による非特異的な取り込みや、高分子医薬品の薬効標的となる受容体介在性エンドサイトーシスによる内在化の後、受容体との複合体を形成した状態でリソソームへソーティングされる選択的な分解機構が関与している。たとえば、上皮成長因子(EGF)や肝細胞増殖因子(HGF)はともに肝臓に発現するそれぞれの受容体が薬効標的となるが、これらは同時にクリアランス受容体としても働き、リガンド-受容体複合体が内在化すると、一時的に細胞表面の受容体数が減少(ダウンレギュレーション)することにより次にきたリガンドのクリアランスが低下する現象もみられる。 また、細胞表面への吸着やヘパラン硫酸プロテオグリカンのような非選択的な細胞内取り込みを介した分解機構も存在する。これらは前者と比較すると飽和しにくいが、そのクリアランスの絶対値は小さいことが多い。したがって、リガンドが低濃度のときは、受容体介在性エンドサイトーシスが主な消失機構であるが、高濃度になるにつれて前者の飽和に伴い、後者のような非飽和性の消失機構がメインになることもありうることが示されている。後者の場合は肝取り込みは高分子医薬品の電荷にも影響され、正電荷を有するものは中性または負電荷をもつものに比べて血中からの消失がはやい。 100nm以上のサイズになると肝臓や肺などに存在する貪食細胞によって認識されやすくなる。核酸医薬は高分子としての体内動態を示すが、リン酸基に由来する負電荷が連続するポリアニオンであることから、ポリアニオンに対する取り込み活性が高い肝臓に速やかに取り込まれる傾向がある。
※この「細胞内への高分子医薬品の取り込みと分解」の解説は、「高分子医薬品」の解説の一部です。
「細胞内への高分子医薬品の取り込みと分解」を含む「高分子医薬品」の記事については、「高分子医薬品」の概要を参照ください。
細胞内への高分子医薬品の取り込みと分解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:43 UTC 版)
「薬物動態学」の記事における「細胞内への高分子医薬品の取り込みと分解」の解説
高分子医薬品は血中速度が比較的速い臓器である肝臓や腎臓における代謝により体内から消失するケースが多くみられる。高分子医薬品の消失メカニズムとしては、上述した血中・組織表面の分解酵素による分解に加えて、細網内皮系に属するマクロファージや単球など異物の貪食能を有する細胞群による非特異的な取り込みや、高分子医薬品の薬効標的となる受容体介在性エンドサイトーシスによる内在化の後、受容体との複合体を形成した状態でリソソームへソーティングされる選択的な分解機構が関与している。たとえば、上皮成長因子(EGF)や肝細胞増殖因子(HGF)はともに肝臓に発現するそれぞれの受容体が薬効標的となるが、これらは同時にクリアランス受容体としても働き、リガンド-受容体複合体が内在化すると、一時的に細胞表面の受容体数が減少(ダウンレギュレーション)することにより次にきたリガンドのクリアランスが低下する現象もみられる。 また、細胞表面への吸着やヘパラン硫酸プロテオグリカンのような非選択的な細胞内取り込みを介した分解機構も存在する。これらは前者と比較すると飽和しにくいが、そのクリアランスの絶対値は小さいことが多い。したがって、リガンドが低濃度のときは、受容体介在性エンドサイトーシスが主な消失機構であるが、高濃度になるにつれて前者の飽和に伴い、後者のような非飽和性の消失機構がメインになることもありうることが示されている。後者の場合は肝取り込みは高分子医薬品の電荷にも影響され、正電荷を有するものは中性または負電荷をもつものに比べて血中からの消失がはやい。 100nm以上のサイズになると肝臓や肺などに存在する貪食細胞によって認識されやすくなる。核酸医薬は高分子としての体内動態を示すが、リン酸基に由来する負電荷が連続するポリアニオンであることから、ポリアニオンに対する取り込み活性が高い肝臓に速やかに取り込まれる傾向がある。
※この「細胞内への高分子医薬品の取り込みと分解」の解説は、「薬物動態学」の解説の一部です。
「細胞内への高分子医薬品の取り込みと分解」を含む「薬物動態学」の記事については、「薬物動態学」の概要を参照ください。
- 細胞内への高分子医薬品の取り込みと分解のページへのリンク