第6水窪川橋梁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 14:42 UTC 版)
水窪川の対岸に近接するまで山肌を迂回するS字橋の第6水窪川橋梁(1990年1月2日撮影) 第6水窪川橋梁(S字橋)を渡り、城西駅から向市場駅へ向う列車(1990年1月2日撮影) 「渡らずの橋」や「S字橋」と称され今や飯田線名物の一つとなっている第6水窪川橋梁(城西駅 - 向市場駅間)であるが、これは不安定な地盤を考慮した結果である。 本来、飯田線は城西駅 - 向市場駅間のこの箇所を水窪川左岸側に穿った全長45 mの向皆外トンネルで抜ける予定であった。向皆外トンネルは1954年(昭和29年)2月に着工され同年6月に貫通したものの、その後の降雨や台風の影響により坑内のアーチ、側壁のコンクリートに剥脱が生じ始め、ついで地盤の変化によるトンネル中心線の移動や断面の変形が発生し、ついにはトンネル周辺の地山全体が水窪川に向かって滑り始めたため、放棄せざるを得ないと判断された。向皆外トンネルが放棄されたことにより、代替のトンネルをより奥に掘削することも検討されたが、工期や工費に余裕がないことや、この付近の地山自体が天竜川断層に近く不安定であることから、たとえ掘削しても「第二の向皆外トンネル」となる可能性も否定できなかったため、最終的には水窪川上にU字形の橋梁を建設し、不安定な箇所を迂回する方法が取られた。 こうして建設された第6水窪川橋梁は、総延長400.7 m、半径250 mとなった。対岸に近い箇所まで大きく「迂回」しているのは、向皆外トンネルのある部分の地山がさらなる大崩壊を起こした場合に備えてのことである。
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