第1編の内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 08:32 UTC 版)
中国(支那)問題がある。第一次大戦以後の時代にあって、日本と中国とは互いに反噬して止まない。中国研究とくにその実精神文化の研究は飽く迄も日本の独擅を許されるべき性質のものである。この機微が中国問題解決の最要の秘鍵である。 中国の典籍は、一般から遺却されようとしている。しかし、そこには偉大な文化、東洋固有の価値ある思想があるのであるから、現代化、民衆化して自由に親炙できるようにしたい。中国学の典籍の国訳事業のみでは不十分で、新しい文化的素養のある人々がその文化を現代に復活させなくてはならない。中国思想界の側も1917年(大正6年)頃から北京大学を中心として文学革命なる新思想問題が流行し始めた。しかし、ここには外来思想の謳歌者が多く、必然的に新旧思想の衝突を招いた。本来、中国は何千年の間文化的に他の奴隷となったことはない。自己の裡にも偉大な文化を蔵して居るのだから、泰西思想のために精神を奪われて内省を失うのは危険。進んで都会文明を利用して、その沃野に偉大なる経営を施すべきである。 日本の中国学は、新時代の思想学問に親しまず、民衆の要求を察せず、古人の学問をそのままに伝えて独創的研究がなく、依然として旧時代式表現を用いるという4つの欠点のために、現在1921年(大正10年)の哲学文芸の盛んな日本にあって、世界の哲学文芸の新知識を活用して極東民族固有の精神文化を開拓することに努力していない。
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