第1相反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:43 UTC 版)
第1相反応で特に重要なのは消化管上皮細胞および肝細胞の小胞体膜上に存在するシトクロムP450(cytochrome P450、CYP)である。この酵素はヘムタンパク質であり、波長450nmに最大吸光度をもつためにこのように命名されている。CYPはNADPH-cytochrome p450 oxidoreductaseと共同し、分子酵素とNADPH(reduced nicotinamide adenine dinucleotide phosphate)を基質として薬物の第1相反応を触媒する。CYPはヒトでは57種類のアイソザイム(isozyme)からなる遺伝子ファミリーを形成しておりCYP1、CYP2、CYP3が重要な働きをしている。CYPアイソザイムはそれぞれ一定の基質特異性があり、いくつかの薬物を基質とする。中でも発現量が多く基質の種類が多いのがCYP3A4である。CYP3A4はニフェジピン、ベラパミル、シクロスポロン、タクロリムス、アトルバスタチン、ミダゾラム、リスペリドンなどを基質とし、グレープフルーツジュースやクラリスロマイシン、ボリコナゾールやケトコナゾールが阻害薬である。CYP以外に第1相反応に関与する酵素はフラビン含有モノオキシダーゼ(FMO)やカルボキシエステラーゼ(CES)、アルコール代謝経路に関係する酵素、キサンチン酸化酵素(XO)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)などがあげられる。
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