第一審の経過
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/03 05:56 UTC 版)
三井は、暴力団に絡む収賄罪や公務員職権濫用罪で起訴され、5月10日に懲戒免職となった。 三井が逮捕直前まで検察の裏金問題を告発しようとしていたことから、三井および三井の支援者からは検察による口封じであると批判して冤罪を主張した。また、三井が起訴された罪は過去に一度も立件されたことがないような微罪だったり、収賄も従来の事件と比較して著しく低額なものであった。 裁判で三井は検察席にいるかつての後輩にあたる検事たちを前に、暴力団関係者との交際については検察官として倫理上の問題があったことは認めたものの「風が吹けば飛ぶようなもの」として犯罪性がないとして無罪を主張する一方で、自身が告発した検察の裏金問題について「検察の裏金を告発しようとした自分の発言を封じるために逮捕、立件した」と検察の捜査手法を批判し、「どうして私が被告席にいるのか! 被告人席にいるべきは多額の裏金を捻出した検察首脳らだ! どちらが正義なのか! どちらが犯罪者なのか! どちらが卑劣な人間なのか、よく考えていただきたい!」と検察の裏金問題の悪質性を強調した。 検察は論告で三井に対して「検察幹部による暴力団との交際によって、暴力団組員が検察庁を堂々と訪問するまでに至った」「検事が職責を売った前代未聞の極めて悪質な犯行」「逮捕などされないという特権意識を持っていた」と指弾し、懲役3年および追徴金約28万円を求刑。一方で三井と弁護側は終始無罪を主張しながら検察を批判した。 2005年2月1日、大阪地方裁判所(宮崎英一裁判長)は三井に対して収賄の一部を無罪としながらも、電磁的公正証書原本不実記録・詐欺罪や収賄罪や公務員職権濫用罪で有罪を認定し、懲役1年8ヶ月追徴金約22万円の実刑判決を下した。賄賂額が多額とはいえないこと、暴力団関係者と飲食を共にしたことを検察官倫理上問題があったと自認していること、事件が大きく報道されて懲戒免職処分となり一定の社会的制裁を受けたこと、長年にわたって検察官としての職責を果たしてきたことなどが情状として認められた。しかし、大阪高検公安部長という検察幹部の地位にありながら職務に関連して自己の責任の重さを自覚することなく暴力団関係者との交遊関係を背景にした悪質な犯行に及び、検察官と刑事司法への社会の信頼を大きく損なわれ、発覚後も十分な反省がないことが実刑判決の理由となった。 一方で判決文は「検察の裏金問題については社会的に重大な問題であり、検察幹部として自ら関与したという被告の供述は軽視できないものであって、その問題の糾明が必要なことは明らか」とした。また、判決前にほぼ同じ判決文が政界に流布、河村たかし衆議院議員(後に名古屋市長)が入手し告発する事件が起こっている。
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