空戦フラップ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/24 01:26 UTC 版)
戦闘機においては、戦闘時の旋回性能向上のためにもフラップを利用する。最初はその目的で開発されたものではないフラップを、パイロットが自分で操作していたが、飛行状態に応じて最適なフラップ角を選択する必要があるため、熟練パイロット以外には操作が困難であった。やがて空戦時の使用を前提に、全開にまで至らない中間的なポジションを予めとっておく空戦フラップが開発され多くの機体で用いられた。しかし、旋回に最適なフラップ角度は速度と旋回にかかるGによって逐次変わるものであり、これら固定空戦フラップでは開度の過剰または不足を招いていた。フラップが過剰に開くことは速度を必要以上に失うことに繋がるうえ、フラップ開度が不足な場合には旋回に必要な揚力を賄えずに失速へと至ってしまう。理想の空戦フラップとは、パイロットの手をわずらわせること無く、開度を連続的に制御できるもの、ということになる。 そこで、空戦フラップの動作を自動化した、自動空戦フラップが開発された。構造そのものはファウラーフラップと同じだが、速度を測るためのピトー管からくる動圧と、Gを計るために水銀を入れた容器とを組み合わせることにより、旋回時に必要なフラップの自動稼働を可能とした。太平洋戦争時の日本海軍機の紫電改や烈風に搭載された。 現代のジェット戦闘機では、操縦装置のコンピュータが常時速度や迎え角などを計算しては必要性に応じて必要量のフラップの出し入れを自動で行う機能を持つことが普通となっており、そのコンセプトとしては空戦フラップと共通するものであるが、空戦フラップとあえて呼称する事はなくなっている。
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