空戦フラップの実効性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 03:13 UTC 版)
「強風 (航空機)」の記事における「空戦フラップの実効性」の解説
海軍航空技術廠飛行機部が、1942年(昭和17年)12月から1943年(昭和18年)2月まで、空戦フラップによる実験を行っている。データは活動写真経緯儀により飛行の経緯を記録し、自記加速度計を併用して得られた。実験高度は2,000mである。実験時の強風の重量は3,500kg、翼面荷重は148.9kg/平方mである。空戦フラップを用いると、旋回半径が通常の70% - 80%へ減少した。このとき旋回時間の減少は見られなかった。宙返りに関しては直径が減少し、宙返りに要する時間も減少した。 強風が148ノットで進入し、旋回した際、荷重は3.3Gかかり、旋回半径は180m、時間は15.5秒を要した。これに対し、151ノットで進入し、19度でフラップを効かせた場合、荷重は4.1G、半径は140m、時間は14.5秒であった。 旋回半径フラップ使用(19度)進入速度翼面荷重旋回半径旋回時間なし148ノット 3.3G 180m 15.5秒 有り151ノット 4.1G 140m 14.5秒 同様にして宙返りを計測した。 190.5ノットで進入しフラップを用いなかった場合、宙返り直径は305m、最大荷重3.4Gであった。宙返りの頂点までに11秒かかり、速度は105.4ノット、荷重1.65G、高度差は437m(進入した地点から)である。また宙返り終了に要した時間は23秒、高度差は-111m(進入した地点から)、速度は184.5ノットであった。 これに対し、189.4ノットで進入しフラップを19度で行った場合、宙返り直径は250m、最大荷重4.0Gとなった。宙返りの頂点までに9.5秒、高度差398m(進入地点から)、速度は95.5ノット、荷重は2.0Gである。また宙返り終了に要した時間は17.5秒、高度差は95m(進入地点から)、速度は142ノットであった。 使用時と不使用時では高度差が200m生じ、また空戦フラップ使用時の速度低下はかなり大きかった。 宙返りフラップ使用(19度)進入速度宙返り直径最大荷重頂点到達時間頂点速度頂点荷重開始→頂点高度差終了時間開始→終了高度差終了速度なし190.5ノット 305m 3.4G 11秒 105.4ノット 1.65G 437m 23秒 -111m 184.5ノット 有り189.4ノット 250m 4.0G 9.5秒 95.5ノット 2.0G 398m 17.5秒 95m 142ノット
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