禁止ルール廃止後の事例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 04:42 UTC 版)
「チームオーダー」の記事における「禁止ルール廃止後の事例」の解説
2011年イギリスGP レース終盤、レッドブルの2台が2・3位を走行し、マーク・ウェバーが後方からセバスチャン・ベッテルを追い上げていた。チーム代表のクリスチャン・ホーナーからウェバーに対して「Maintain the Gap(差を保て)」という指示が出されたが、ウェバーは尚もベッテルを攻め立てた。レース後のインタビューでは、ウェバーが無線の指示を無視したことを認めたため話題となった。 ホーナーは指示の理由を共倒れのリスクを避けるためと説明し、「最終的には一番重要なのはチームだ。チームより重要な個人など存在しない」と述べた。しかし、前年のドイツGPの騒動ではフェラーリを公然と批判しており(後述)、解禁後とはいえチームオーダーを発動したことに批判を受けた。 2013年マレーシアGP 2011年イギリスGPの逆ケース。マレーシアGPはタイヤの消耗が激しいため、レッドブルは最後のタイヤ交換を終えた時点の順位のままフィニッシュするという取り決めを交わしていた。レースはウェバーとベッテルのワンツー体制となり、ウェバーは取り決めを信じてペースダウンした。しかし、ベッテルは無線指示を無視してオーバーテイクを仕掛け、ウェバーから優勝を奪った。レース後、ウェバーは「マルチ21」という暗号のような単語を出してベッテルのチームオーダー破りを非難。ベッテルは故意ではなかったと謝罪したが、ホーナー代表もベッテルが個人の利益を優先したと認めた。 また、3・4位のメルセデスもチームオーダーを発動。ガス欠を恐れてペースを落としたルイス・ハミルトンを抜きたいとニコ・ロズベルグが訴えたが、チームから順位を守るよう説得された。レース後、ハミルトンは「彼は僕のポジション(3位)を得るのにふさわしかった」と認めた。 2015年モナコGP レッドブルチームはリカルドがライコネンを押し出してポジションをあげたのち、クビアトの後ろにつけた。そのあと「ハミルトンを抜けるのか試すぞ」という無線指示に従い、クビアトはリカルドに順位を譲る。レース最終盤に入って、「ハミルトンかベッテルを攻略できない場合は、クビアトに順位を譲り返す」指令が出されたレッドブルらしい戦略を見せたレース。結局クビアト4位、リカルド5位であった。 2018年ロシアGP ルイス・ハミルトンのピットインタイミングを1周間違えてしまったメルセデスのトト・ヴォルフ代表は、緊急策としてハミルトンを前に出すようにバルテリ・ボッタスに指示。そのまま1-2フィニッシュでレースは終了となり、チームストラテジーミスとはいえ2013年のマレーシアGPと似た状況を生んだ。ただ、この件はボッタスのモチベーションを下げる結果となり、ボッタスのドライバーズランキングが下げる一因となった。また、2021年4月の記事によれば、当時はシーズン終了と同時にチームを去ることを真剣に考えたことを明かしている。
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