神話上の役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 05:29 UTC 版)
アダパはエリドゥ(文献によってはディルムンとされる事もある)の賢神エア(シュメール人の神話ではエンキ)の血統ではあるが、死すべき運命にある通常の人間であった。彼は人間に工芸や文明をもたらすためにエアに遣わされたのだった。 彼は漁の最中に船を転覆させた風の神ニンリルの翼を折った事を咎められ、アヌに天界に呼び出された。 彼の守護神であるエアは、この件に関しては素直に謝罪する事、だが天界で出されるものは死の飲食物かも知れないので口にしないようアダパに警告した。 アダパの謝罪を受け入れたアヌはアダパの姿勢に応え、永遠の生命の食物を彼に勧めた。だがアダパはエアのアドバイスに従い、それを口にしなかった。こうして彼は不死を得る機会を逃してしまった。 これに似た多くの神話が知られており、例えば失楽園において知恵の樹の実を口にしてしまったが為にエデンを追放され、死すべき運命となってしまったアダムとエバの物語もその1つである。 失楽園には存在しないが、多くの似た神話では天界や冥界では何も口にしない様に警告されるという内容を持っている。例えばペルセポネーがハーデースの下を訪れる際の物語などもそうである。 イギリスの古代オリエント学の研究者であるステファニー・ダレイ(英語: Stephanie Dalley)は著書の中でこう記している。『エッラ(Erra、ネルガルの事)とイシュム(Ishum)の時代の後、7人の賢人は神の怒りを買い、皆アプスーの元に去ってしまった。アダパが去って物語は終わった』 アダパは大洪水以前の神話上の最初のエリドゥの王であるアルリムの側近とされる事が多い。 彼は司祭や悪魔祓い師のような役割であったとされる事が多く、その死後にアプカルの1人として認知されるようになった。
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