神話と居住の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/11 13:44 UTC 版)
シュルッパクはシュメール神話の物語における重要な舞台の1つである。『シュメール王朝表(シュメール王名表)』に残されたシュメールの伝承では伝説的な大洪水の以前と以後に大きく時代が分けられている。そしてシュルッパクは大洪水以前の時代において最後に「王権」が天から降りた都市とされ、その王ウバルトゥトゥは18,600年間統治したという。また前2千年紀に書かれた『シュルッパクの教訓(英語版)』と呼ばれる文学作品では、ウバル・トゥトゥの息子で都市と同じ名前を持つ賢人シュルッパクが、息子のジウスドラ(英語版)に様々な教訓を与えている。同じ頃の別の神話ではジウスドラは大洪水を生き延びて不死を得た人物ともされている。『ギルガメシュ叙事詩』においてはウバル・トゥトゥの息子のウトゥナピシュテム(英語版)(またはUta-na'ishtim)という男がシュルッパク王であることが記されている。ウトゥナピシュテムは大洪水を逃れてディルムンに赴き、ウルク王ギルガメシュの訪問を受けたという。 テル・ファラ遺跡の発掘によって、シュルッパクは穀物の貯蔵と分配の拠点であり、数多くの穀物サイロを持っていたことがわかっている。シュルッパクの最古の発掘層は前3000年頃のジェムデト・ナスル期に年代付けられる。ジェムデト・ナスル期の末期にシュルッパクで河川の氾濫による洪水があったことも考古学的に証明されているが、この洪水をシュメール神話の大洪水と結びつける説は全く空想的なものに過ぎないとされる。洪水より下の層から発見される多色の土器(polychrome pottery)は初期王朝時代の前のジェムデト・ナスル期に遡るものである。この都市は前2000年を過ぎた直後頃に放棄されたが、エーリッヒ・シュミット(英語版)による調査では前2千年紀初頭まで下るイシン・ラルサ時代の円筒印章といくつかの土器製飾り板(plaques)も発見されている。遺跡から発見された遺物は主として初期王朝時代のものである。
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