神代文字捏造ブームと偽書疑惑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/16 13:57 UTC 版)
「ヲシテ文献」の記事における「神代文字捏造ブームと偽書疑惑」の解説
江戸時代に国学が隆盛し、漢字伝来以前の日本が独自の文字を有していたとの説が広がった。その為、「神代文字(しんだいもじ・かみよもじ)とよばれる多くの文字が創作された。 ヲシテ文献を記述している文字「ヲシテ」は、その神代文字のひとつであるとするのが学会における定説である。古筆研究者の小松茂美によると、捏造された文字であるとする根拠は次の4つである。 鎌倉時代までの古文献では、漢字の伝来以前に、わが国に文字がなかったと記されている。 上代特殊仮名遣におけるかな文字の区別が見られないということ。すなわち、母音の差異に基づく甲・乙両種の音の区別が消えるのは、10世紀の半ばであると考えられる。仮に神代文字が存在していたものとすれば、これら甲・乙両種の音を表す文字が当然なければならない。 神代文字は47文字または50文字で成り立つと言われているが、その数の基礎は「いろは歌」と「五十音図」に求められる。ところが「いろは歌」は9世紀はじめにつくられ、「五十音図」もその最古の例は11世紀はじめであり、年代が合わない。 字形を提示しての神代文字は、すべて江戸時代以降に成る。それも、有力なものは表音文字が音節文字で字母表としてのみ掲示され、ことばを表記した痕跡はない。 神代文字のひとつによって記述されている文書ということ等から、ヲシテ文献も偽書であるとされていたが、池田満により、『古事記』『日本書紀』の原書であると証明する新説も提示されている。
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