目の構造上の「盲点」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 05:15 UTC 版)
視覚情報は目の裏側の光受容体で捉えた光を電気信号に変換し脳で処理して得られるが、光受容体は均一に存在するわけではなく、中央部に多く周縁部になるほど少なくなり、全く存在しない部分もある。この光受容体が存在しないために電気信号が得られない部分を盲点といい、人の視界には左右の目あわせて2か所の盲点がある。 脊椎動物の網膜は前方(光が入ってくる側)に血管網、次いで神経線維のネットワークがあり、視神経は光を感じる細胞層を貫いて眼球の外に出て脳へと導かれるので、盲点の存在はある程度まではやむを得ない構造上の問題である。 視神経と網膜がこのような位置にあるのは、脊椎動物の発生において、眼球が間脳に由来するからである。まず間脳の一部が眼胞として体表側の方向に伸びていく。その後、眼胞に接した体表の細胞が水晶体板に分化する。次に水晶体をくるみこむように間脳の一部が内部に脳室を挟んでコの字形に変形する。最後に脳室が消失し、コの字の前方が視神経へ、後方が網膜へと分化していくからである。 目の発生過程が異なり、光を感じる細胞層が脊椎動物とは逆に最前面にある軟体動物の頭足類では盲点は存在しない。 脊椎動物の視神経が眼球から出ていく部位は各眼球の鼻側になり、網膜には外界の像が反転して映る(凸レンズの実像)ので、盲点は両目の耳側にくる。それは上の手順を左右逆転させ、右目で左の点を見ると確かめることができるであろう。
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