目の拡張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/19 03:41 UTC 版)
接合胞子嚢が形成されるために、この類は接合菌類と見なされ、ケカビ目とは異なるので当初はハエカビ目に含めたが、後に独自の目であると認められた(Bessey,1950)。当初はトリモチカビ科のみを認めたが、ドレクスラーが1973年にトリモチカビ科から内部寄生性のものをゼンマイカビ科として独立させた。 その後、長らくケカビ目に含められたヘリコケファルム科やエダカビ科がKreiselにより1969年に移された。その後、シグモイディオミケス科がこの目に移された。これらは、その無性生殖器官の構造やその大きさからケカビ目と考えられてきたが、他のケカビ目の寄生性のものが細胞壁の接触だけで寄生を行うのに対して、これらが相手の細胞内に吸器を侵入させることからこのような移動が行われたものである。後には分子遺伝学的なデータからも一応支持されている。 また、Zoophagusは線虫などを捕食する糸状菌として名の知られたもので、長らく鞭毛菌類と考えられてきたが、これもトリモチカビ目のものと考えられるようになった。ただし、これには疑問を持つ向きもある。 なお、トリモチカビやゼンマイカビの胞子は、それが接合菌であることから、胞子嚢由来のものではないかと考えられたこともあり、分節胞子嚢と言われる場合もある。しかし、電子顕微鏡像からもその証拠は見いだせない。胞子を単独に形成するものも含めて、これを真性の分生子であると見なす説もある。他方で、新たに追加されたもののうち、エダカビ科のものは明らかに分節胞子嚢であり、ここに他の群との若干の解離がある。 接合胞子嚢については、ヘリコケファルム科とシグモイディオミケス科では未知である。エダカビ科のものは、配偶子嚢が平行に伸びる点では共通するが、接合胞子嚢が褐色に色づき、表面に網状の隆起がある点ではかなり異なっている。 この群は一度はそれぞれ別個の位置に分類されながら、その後に判明した分類上重要な特徴の類似によって集められた群ではあるが、系統的には異なったものが含まれる可能性も指摘されている。
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