白沢保美とは? わかりやすく解説

白沢保美

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/13 23:42 UTC 版)

白沢保美

白沢 保美(白澤 保美、しらさわ やすみ、しらさわ ほみ、しらさわ やすよし[1]1868年10月3日慶応4年8月18日[2] - 1947年昭和22年)12月20日[1])は、日本樹木学者東京市の初期、都市緑化事業の指導にあたる。 農商務省山林局林業試験場(現・森林研究・整備機構)長、日本林学会会長、日本農学会会長、貴族院議員[3]

人物

1868年慶応4年)、信濃国安曇郡明盛村(現・長野県安曇野市)の医師・白澤市郎次の家に生まれる。東京へ出て、立教学校(現・立教大学)で修学[4]1894年明治27年)、帝国大学農科大学林学科を卒業。大学院で研究のかたわら、農商務省山林局に技師として勤務[3]

1900年(明治33年)より欧州に2年間留学1903年(明治36年)、林学博士。1908年(明治41年)、山林局林業試験所長への就任を経て、1913年(大正2年)林業試験場長に就任。1932年(昭和7年)に退職するまで、20数年の長期にわたってその職についた。この間、日本林学会会長、同名誉会長、日本農学会会長を務めた[3]。妻は稲垣乙丙の養妹のさた。

都市緑化について強い関心を持ち、1904年(明治37年)に優秀樹木としてプラタナスユリノキ種子を大量に公園樹木として供給した。また1907年(明治40年)、東京市の委嘱により福羽逸人と協力し、街路樹は種苗より整然と育成すべきことを説いた東京市行道樹改良案を提出、東京の街路樹事業の大綱が樹立させた。東京市はこれによりプラタナスやイチョウ等の栽培を始めたほか、1910年(明治43年)から新規格による街路樹の植栽に着手し、以来年々これが育成に努力した結果戦前に10万余本の街路樹の整備を見た。こうして、多数の優良海外樹種が公園道路学校等の公共地に配布栽培が出来ている。

また、東京市公園改良委員として既成公園の改良を力説。また林学関係学生の指導や、関係学会および協会等の活動にも多数関わった。

1946年(昭和21年)3月22日、貴族院勅選議員に任じられ[5][6]同成会に所属し1947年5月2日の貴族院廃止まで在任した[1]

旧温明小学校跡のヒマラヤスギ・ユリノキ

旧温明小学校跡のヒマラヤスギ・ユリノキ

長野県安曇野市役所三郷支所(旧・南安曇郡三郷村役場)、旧温明小学校跡には白沢によって植えられたヒマラヤスギとユリノキがある。白沢はドイツ留学の帰りにインドからヒマラヤスギを、アメリカからユリノキをそれぞれ持ち帰った。当地には明治40年代に植えられて以来、道路工事や水道管工事に耐えながらも成長し、現在は共に目通り直径3メートルを超える大木となっている。なお、白沢が持ち帰ったユリノキは5本あり、うち1本が1909年(明治42年)に温明小学校の創立を記念して当地(当時は温明小学校の校門)に植えられた。ただ、当地以外には東京国立博物館東京都台東区上野公園)に1本を残すのみで、残りは戦争や天災で失われてしまったという[7]

脚注

  1. ^ a b c 『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』130頁。
  2. ^ 『人事興信録 5版』人事興信所、1918年、し36頁。
  3. ^ a b c 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」 『白沢保美』 コトバンク
  4. ^ 立教史データベース 『校友会・校友消息』 立教学院学報第8号,1915年10月
  5. ^ 『貴族院要覧(丙)』昭和21年12月増訂、57頁。
  6. ^ 『官報』第5757号、昭和21年3月26日。
  7. ^ 『三郷村誌 II 第1巻 自然編』250 - 251ページ。

参考文献

  • 井下清ほか『首都緑化推進委負会十年誌』
  • 大場秀章編集『植物文化人物事典 ―江戸から近現代・植物に魅せられた人々』日外アソシエーツ、2007年。
  • 三郷村誌編纂委員会編纂『三郷村誌 II 第1巻 自然編』三郷村誌刊行会、2004年。
  • 衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
  • 『貴族院要覧(丙)』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。

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