白梅図鍔
梨地象嵌とは装剣小道具に施される象嵌の一種。鍔や小柄などの平滑な表面に、鞘塗りなど漆工芸にみられる金梨子地のように微細な点状の金を象嵌し、表面を平滑に処理する手法のこと。色鮮やかで華麗な雰囲気があるところから図柄の背景に採られ、あるいは雲や霞などの表現にも用いられることもある。江戸金工大森派や幕末の後藤一乗一門に多くみられ、刀装具に蒔絵の華やかさを加味したものとして、世の賞玩厚い。 表題の鍔は後藤一乗の高弟で独特の高彫や甲鋤彫り表現で知られる、橋本一至の得意とした梅樹図鐔。鉄地を平滑に仕上げ、花開く梅の樹枝を実体的高彫にして金銀の象嵌を施し、この背後に金の梨子地象嵌を配して、梅の匂い立つ様子を心象表現している。裏面は切金散らし風の平象嵌で寒中に仄かにほころぶ白梅を主題にした和歌を配し、抒情的な日本の初春の一場面を描いている。 |
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