白い原稿
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/13 09:22 UTC 版)
8月初旬、都内でも指折りの高級住宅街にある公園のベンチでロック歌手兼小説家の桜庭巧己の死体がナイフが胸に刺さった状態で発見された。そしてそのわずか3時間後、自称小説家の荒島秀人という男が自分が犯人であると出頭してきた。取り調べにあたった犬養が話を聞くと、「ビブレ賞」という文学賞に応募したものの、桜庭が受賞したせいで自分が受賞できなかったことを恨んでの犯行なのだという。しかし公園で寝ていた被害者を見ての突発的な行動で、殺意は無かったと話す。殺意の否定には疑問が残るものの、話している内容に矛盾は無いため、犯行の裏付けのため関係者に話を聞いて回っていた犬養であったが、御厨からの検死報告書を見て驚く。そこには直接の死因は凍死であると書かれていたのだ。 桜庭 巧己(さくらばたくみ) 篠島タクという芸名のロック歌手。20代半ば。小説『うつろい』を執筆し、ビブレ大賞という新人文学賞を受賞して一躍時の人となり、「天は二物も三物も与える」ともてはやされたが、その内容は受賞するには到底値しないレベルだと書評家たちがいいはじめ、今となっては出来レースだったのではないかと噂されている。受賞作は100万部を突破したが、読者の反応も最悪で、版元であるビブレ社にも非難は集中した。 8月初旬、港区高輪4丁目の公園脇のベンチで胸に深々とナイフを突き立てられた状態で発見される。 桜庭 香澄(さくらばかすみ) 巧己の妻。大学生の時、篠島のファンクラブの会長になり、卒業してから結婚した。 荒島 秀人(あらしま ひでと) ペンネーム:嵐馬シュウト(あらしましゅうと)。34歳、無職。自称作家のタマゴで5年程前から投稿の常連。桜庭巧己を殺したのは自分だと出頭してくる。『幽玄の森』という作品をビブレ賞に応募しており、最終選考に残ったものの桜庭のせいで大賞を受賞できなかったことが動機だと話している。 日下 康介(くさか こうすけ) ビブレ社の篠島の担当編集者。一見快活そうな印象を受けるが、レンズの奥の目は陰険そうに蠢いている。 御厨(みくりや) 検視官。
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