申立権肯定説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 02:30 UTC 版)
専門家の間では、本決定は少年側に保護処分取消申立権を認めているとの見解が多数派である(下表参照)。申立権を肯定する立場は、本決定が一審の実体審理を正当と評した点を以て、そうしないのは不当であるとする趣旨を含むと解釈する。この判示によって裁判所には応答義務が生じたため、これは少年側に保護処分取消申立権を認めたのと事実上同じである(もし応答義務がないとすれば、少年側は裁判所が偶々不取消しを決定した場合にしか不服申立てができないことになり、著しい不公平を生じる)。 また、ある事項に関する申立権の有無は、一般的に「……の申立(請求)により」との法文が置かれているかによって形式的に判断される。しかしこれには、例えば刑訴法第123条第1項が「決定でこれを還付しなければならない」との法文を置くことを理由として、「申立(請求)により」との法文がないにもかかわらず所有者の申立権を否定していない、というような例外もある。そして、少年法第27条の2第1項には「保護処分を取り消さなければならない」という刑訴法第123条第1項との類似表現があり、この点からも少年側の申立権を肯定する解釈は不可能ではない、とする。
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