用役と再利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 07:26 UTC 版)
鉄鋼製品を1トン作るのに水が100トン必要であると言われるほど、鉄鋼業は設備冷却・加工品の冷却・洗浄などに大量の水を必要とする。こうした水は工業用水から確保しているが、使い終わった水は徹底的に回収・処理することで、極力新水の使用を削減している。現在の[いつの?]日本の製鉄所における水の再利用率は90パーセントを大きく超えており、熱で蒸発した以外はほぼ全量再利用されている。 製鉄業には各所で加熱工程があり、膨大な熱量が必要となる。こうした熱源には、コークス炉(コークス炉ガス)・高炉(高炉ガス)・転炉(転炉ガス)などで発生する一酸化炭素を主成分とする可燃性ガスを回収して用いている。製鉄所内にはこれらのガスを貯蔵するタンクや配管がいたる所に見られる。特に高炉で発生するガスは薪と同程度のエネルギー量しか無いものの、多くの製鉄所では場内で回収されるガスで全ての熱源を賄えるばかりか、発生した余剰ガスを都市ガス会社に販売している所もあったが、有毒な一酸化炭素が含まれているなどの理由で現在では[いつ?]都市ガスの天然ガスなどへの転換政策が進んだことから行われていない。また、加熱時に発生した大量の熱は、仕事が終わった後も回収され、予熱・乾燥などに用いられている。また、でき上がったばかりのスラブなどの半製品はかなりの高温であるが、それをできるだけ冷却させずに熱間圧延することでエネルギー消費を抑制しようという動きも盛んである。 製鉄所の設備を稼働させるのに電力は不可欠である。これらの電力は電力会社から購入しているが、製鉄所内では自家発電も盛んであり、電力会社と共同で発電事業会社を運営し発生した電力を折半するケースも見られる。上述の場内発生ガスを利用した発電所の他に、高炉で発生した高温高圧のガスでタービンを回すことにより発電する炉頂圧発電といったエネルギー回収設備が実用化されている。 転炉での製鋼作業や製品の切断などには、大量の酸素が使用される。酸素は大気中から分離設備で製造され、場内に供給される。製鉄所で製造される酸素は多量であり、同時に分離される窒素・アルゴン・二酸化炭素などと共に、ガス会社に外販されている。ある地方では製鉄所の酸素設備が壊れると病院での手術ができなくなるほど、重要な供給源になっている。
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