生産者の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/11/28 09:33 UTC 版)
他方、植物プランクトンなど光合成生物にとっては、デトリタスの存在は透明度を下げ、光合成を邪魔するものではある。しかしながら、光合成生物の成長に必要な栄養塩類、いわゆる肥料分の供給を考えた場合、デトリタスとの関係は複雑である。 陸上生態系の場合、動植物の老廃物は主として地上(あるいは樹木の基質表面)に蓄積され、そこで分解過程が進むにつれて無機塩類の形で植物の肥料分として供給される。しかし水中においては、老廃物はさほど底質に蓄積することは少なく、水中での分解の進行が重要な位置を占める。しかし、海洋生態系において無機塩類の量を調べると、特に多量の供給がない場合は、冬から春にかけてその量が増大するが、夏には極めて少なくなるのが普通である。これに呼応するように、海藻の現存量も初夏までに最大を迎え、その後は減少してしまう。これは、温暖な時期には植物系の生物の成長が早く、分解による無機塩類の生産が間に合わないためと言われる。つまり、冬季、植物系の生物が不活発な時期に肥料が蓄積されるが、温度が多少上昇すると、これをあっという間に使いつくしてしまうわけである。 では、最も暖かい時期には生産力が落ちるかというと、そうではないらしい。渦鞭毛藻類などは、運動性があり、固形の餌を取り込む能力があって、なおかつ光合成能を持つ。このような微生物が、デトリタスなどが分解されて肥料分になるのを待たずに、これを餌として取り込んで成長するのである。つまり有機物を用いて光合成が行える。夏期のプランクトンの生産量はこれが支えていると思われる。
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