生物濃縮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 01:31 UTC 版)
これら動物は、他の動物を捕食することで、その捕食された動物が摂取した栄養素を二次的に利用する。この場合、骨や内臓も食べることになるため、それらに蓄積された栄養素も消化・吸収する。しかしその一方で、尿や汗によって体外に排泄されにくいために、これら被捕食動物の体に蓄積された脂溶性の汚染物質も吸収することになる。したがって、有害物質などが被捕食動物よりも高濃度で蓄積し、より大きな被害が出る場合もある(生物濃縮)。近年では一部地域で、これら食物連鎖による高濃度な公害による汚染によって、野生肉食動物の絶滅が危惧されている所もある。 捕食することでその餌動物から特殊能力を受け取る例もある。ウミウシの仲間には餌にする海綿動物などの動物の持つ毒物を体内に取り込んで、自分が魚などに食べられないための防御に用いるものが多いが、なかでもミノウミウシ類は刺胞動物を餌として、その時に餌のもつ刺胞を壊さずに取り込み、自分の背面などに保持して、自己防衛に使う。また嚢舌類と呼ばれるウミウシの仲間は緑藻類に属する海藻の細胞の中身を吸引して餌にしているが、そのとき葉緑体は消化せずに生きたまま背面にある細胞に取り込み、光合成をさせて活動に必要な栄養素を獲得している。餌に含まれる毒素の利用は昆虫でもよく知られおり、マダラチョウ科のチョウの多くは幼虫時代に食草から取り込んだ毒物によって鳥に食べられにくくなっている。
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