生態における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 00:28 UTC 版)
ウイルスは、水生環境で最も豊富な生物学的存在である。ティースプーン1杯の海水には約1,000万個のウイルスが含まれており、海水と淡水の生態系の調節に欠かせない存在である。ほとんどはバクテリオファージであり、植物や動物には無害である。それらは水生微生物群集の細菌に感染して破壊し、これが海洋環境で炭素をリサイクルする最も重要なメカニズムとなっている。ウイルスによって細菌細胞から放出された有機分子は、新鮮な細菌や藻類の成長を刺激する。 微生物は海のバイオマスの90%以上を構成している。ウイルスは毎日このバイオマスの約20%を殺し、海洋には細菌や古細菌の15倍のウイルスが存在すると推定されている。これらのウイルスは主に、他の海洋生物をしばしば死滅させる原因となっている有害な水の華 (アオコなど藻類) の急速な破壊に関与している。海洋中のウイルスの数は、宿主となる生物が少ない沖合や水深が深くなるほど減少する。 その影響は広範囲に及んでいる。ウイルスは、海洋の呼吸量を増やすことにより、大気中の二酸化炭素の量を年間約3ギガトン減らすことに間接的な役割を果たしている。 海洋性哺乳類もウイルス感染症の影響を受けやすい。1988年と2002年に、ヨーロッパでは何千頭ものゼニガタアザラシがアザラシジステンパーウイルス(英語版)によって殺された。カリシウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、パルボウイルスなど、他の多くのウイルスが海洋性哺乳類の集団を循環している。
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