生合成と調整
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 07:11 UTC 版)
カルシトリオールは、腎臓のネフロンの尿細管の細胞で25-ヒドロキシビタミンD3・1-α-ヒドロキシラーゼとミトコンドリアの酸化酵素と25-ヒドロキシコレカルシフェロール(カルシフェジオール)のヒドロキシ化を触媒する酵素で合成される。この酵素の活性は、副甲状腺ホルモンにより活性化される。この反応は、Ca2+ホメオスタシスの重要な調整機能である。 カルシトリオールの生成は、大量のカルシウムを必要とする身体機能である催乳(乳の生成)を刺激するホルモンであるプロラクチンによっても促進される。カルシトリオールの生成は、高濃度の血中リン酸によって抑制され、骨の中の破骨細胞によるホルモンであるFGF-23の生成増加によっても抑制される。 皮膚で産生されたものであれ経口摂取されたものであれ、ビタミンD3(コレカルシフェロール)は、肝臓でC25の位置でヒドロキシ化の代謝を受け 25-ヒドロキシコレカルシフェロール(別名25(OH)D3 、カルシジオール)へと変化し肝細胞に貯えられ、必要なときにα-グロブリンと結合しリンパ液中に放出される。なお、Cの番号はステロイドやコレステロールの構造と炭素の番号に由来する。 カルシジオールは、腎臓の尿細管に移送され、2つの種類のビタミンDの型に変化する。一つは活性型ビタミンD(1,25-ジヒドロキシビタミンD3、カルシトリオール)となる。ヒドロキシ化されたC1は下側リング右側に位置する。 ホルモン作用を有する活性型ビタミンD(カルシトリオール)は、副甲状腺ホルモンに加えて低カルシウム、低リン酸状態により活性化したカルシジオール-1-モノオキシゲナーゼ(1α-ヒドロキシ酵素)によって生成される。 1α-ヒドロキシ酵素が不活性な場合には、別の酵素がカルシジオールのC-24をヒドロキシ化して、もう一つの非活性型ビタミンD(24,25-ジヒドロキシビタミンD3)を生成する。この反応によりカルシジオールは生化学的な作用から不活性化される。また、不要となったカルシトリオールは、カルシトリオール24-ヒドロキシラーゼの触媒作用によってカルシトロン酸が生成される。この物質は、水に溶け、尿中に排泄される。
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