生合成経路の探索
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 15:21 UTC 版)
クルクミンの生合成経路を定義することは、これまで合成研究者にとって非常に困難であった。まず、1973年に、RoughlyとWhitingがクルクミンの生合成について2つの経路を提唱した。最初の合成経路は、ケイ皮酸(英: cinnamic acid;シンナミック酸)と5分子のマロニルCoAによる鎖伸長反応が含まれる(最終的にはアリール基と結合してクルクミノイドとなる)。第2の経路には、2つのシンナメート(ケイ皮酸エステル)をマロニルCoAによって会合する反応が含まれているものであった。 どちらの合成経路も出発物質として、ケイ皮酸(英: cinnamic acid;シンナミック酸)が用いられており、元来はアミノ酸のフェニルアラニンから(アンモニアが脱離することで)派生してくるものである。植物の生合成において、ケイ皮酸を出発物質として活用しているということは、より一般的なp-クマル酸の利用と比べると稀なことであり、注目に値する事項である。他にはわずかに、アニゴルホン (英: anigorufone)およびピノシルビン (英: pinosylvin)のみが少数例として、ケイ皮酸を出発物質として利用する。 また2008年までは実験的に確証のとれた合成経路は存在しておらず、このときの喜多らの実験で仮定された生合成の経路もRoughlyとWhitingによって提唱された第1および第2の経路に従ったものであった。 しかしながら、13C同位体標識法によるデータは、5分子のマロニルCoAがケイ皮酸と反応してクルクミンを形成するという第1の経路を支持してはいたが、ヒドロキシ基やメトキシ基といった官能基がクルクミノイドに組み込まれていく順番が、第2の合成経路を強く支持するものであった。したがって、RoughlyとWhitingの提唱した経路のうち第2の経路が正しいことが結論づけられた。
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