ケイ皮酸エステルとは? わかりやすく解説

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ケイ皮酸

(ケイ皮酸エステル から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/04 03:10 UTC 版)

ケイ皮酸
上:(E)-ケイ皮酸
下:アロケイ皮酸
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
バイルシュタイン 1905952
ChEBI
ChEMBL
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.004.908
EC番号
  • 205-398-1
Gmelin参照 3731
IUPHAR/BPS
KEGG
PubChem CID
UNII
CompTox Dashboard (EPA)
性質
C9H8O2
モル質量 148.16 g·mol−1
外観 白色の結晶
匂い 蜂蜜のような[1]
密度 1.2475 g/cm3[2]
融点 133 °C (271 °F; 406 K)[2]
沸点 300 °C (572 °F; 573 K)[2]
500 mg/L[2]
酸解離定数 pKa 4.44
磁化率 −7.836×10−5 cm3/mol
危険性
GHS表示:
Warning
H315, H319, H335
P261, P264, P271, P280, P302+P352, P304+P340, P305+P351+P338, P312, P321, P332+P313, P337+P313, P362, P403+P233, P405, P501
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
Health 1: Exposure would cause irritation but only minor residual injury. E.g. turpentineFlammability 1: Must be pre-heated before ignition can occur. Flash point over 93 °C (200 °F). E.g. canola oilInstability 0: Normally stable, even under fire exposure conditions, and is not reactive with water. E.g. liquid nitrogenSpecial hazards (white): no code
1
1
0
引火点 > 100 °C (212 °F; 373 K)[2]
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。

ケイ皮酸(ケイひさん、桂皮酸、cinnamic acid)とは、示性式C6H5CH=CHCOOH で表される、芳香族不飽和カルボン酸に分類される有機化合物である。IUPAC系統名は 3-フェニル-プロパ-2-エン酸 (3-phenyl-prop-2-enoic acid)。分子量は 148.16、CAS登録番号は [621-82-9]。β-フェニルアクリル酸とも表される。植物界に広く存在する。

シス-トランス異性体の双方をケイ皮酸と呼ぶことも多いが、狭義には E体のみをケイ皮酸と呼び、Z体はアロケイ皮酸と呼ばれる。アロケイ皮酸は不安定で容易に E体へと異性化する。

シンナムアルデヒド酸化によって作ることができるが、工業的にはベンズアルデヒド無水酢酸酢酸カリウムを作用させるパーキン反応によって作られる。ケイ皮酸はフェニルプロパノイドの一種であり、天然に存在するケイ皮酸は、フェニルアラニンフェニルアラニンアンモニアリアーゼによる脱アミノ化を受けることで生成する。

主なケイ皮酸誘導体

ケイ皮酸のエステルのいくつかに、芳香を持つものが知られる。

(ケイひさんメチル、methyl cinnamate)は分子式 C10H10O2、融点 36 ℃、沸点 261.9 ℃ の低融点の結晶である。いわゆるマツタケ臭、バルサム臭を持ち、香料、食品添加物などに利用される。には溶けず、エタノールに溶ける。マツタケバジルイチゴなどに含まれる。

(ケイひさんエチル、ethyl cinnamate)は分子式 C11H12O2、融点 6–10 ℃、沸点 271 ℃ の液体である。いわゆるシナモン臭といわれる果実臭、バルサム臭を持ち、香料、食品添加物などに利用される。水には溶けず、エタノールに溶ける。

ケイ皮酸n-ブチル

(ケイひさんのるまるブチル、n-butyl cinnamate)は分子式 C13H16O2、沸点 145 ℃/13 mmHg の液体であり、純粋なものはエーテル臭がする。水には溶けず、エタノールに溶ける。

無水ケイ皮酸

(むすいケイひさん、cinnamic anhydride)は分子式 C18H14O3、融点 136 ℃ の結晶である。水には溶けず、エタノールに僅かに溶ける。ベンゼンなどに熱時溶解する。

コーヒー酸

(さんよんジヒドロキシケイひさん、(E)-3,4-dihydroxycinnamic acid)は分子式 C9H8O4、分子量は 180.16。コーヒー酸あるいはカフェ酸 (caffeic acid) という慣用名がある。キナ酸と 3,4-ジヒドロキシケイ皮酸とのエステルはクロロゲン酸と呼ばれる。3,4-ジヒドロキシケイ皮酸もクロロゲン酸も植物の成長制御に関与する物質である。その他、エステルとして植物界に広く分布し、その一部はタンニンとして知られる。生合成的にはケイ皮酸の酸化により生じる。

出典

  1. ^ Cinnamic acid”. flavornet.org. 2025年10月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e Record 労働安全衛生研究所(IFA)英語版発行のGESTIS物質データベース

関連項目




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