狭義のパロディ (ターゲット型) と風刺 (ウェポン型) の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 03:12 UTC 版)
「パロディ・モンタージュ写真事件」の記事における「狭義のパロディ (ターゲット型) と風刺 (ウェポン型) の違い」の解説
上述の代替性・必然性の観点は、狭義のパロディと風刺の違いから解説されることもある。法学者・上野達弘は広義のパロディを 「ターゲット型」(狭義のパロディ) -- 元ネタの作品 (ないし原著作者) を直接ターゲットにして批判・論評する目的で創作されたパロディ 「ウェポン型」(風刺など) -- 元ネタを素材 (攻撃用の武器) として用いて、別の事象を批判・論評する目的で創作されたパロディ に分類して解説を試みている。被告・アマノ自身が主張しているように、本件モンタージュ写真は原著作者の白川を侮辱したり茶化す (狭義の) パロディ目的ではなく、自動車公害という社会問題を風刺するために白川の原著作物が素材として用いられたことから、後者のウェポン型である。 世界各国の著作権法を俯瞰してみても、ウェポン型パロディは必ずしも社会風刺の目的を達成するのに元ネタを借用する必然性がないことから、著作権侵害の判定を受けやすいと言われている。たとえば米国著作権法のパロディ関連でリーディングケースとして知られる「キャンベル対エイカフ・ローズ・ミュージック裁判」(通称: プリティ・ウーマン判決、1994年連邦最高裁判決) では、「ウェポン型」の風刺は社会を批判する目的で他者の作品を踏み台に利用していることから、(狭義の) パロディと比べて著作権侵害の判定を受けやすいと判示されている。英国では1960年の「ジョイ・ミュージック対サンデー・ピクトリアル紙裁判」でウェポン型が法的に許容されたものの、その後は著作権侵害の判定が続いている。同様にウェポン型を否定する国としてドイツがある。ただしフランスでは、1957年にフランス著作権法上の条文でパロディを著作権侵害の例外として明文化しており、この条項は21世紀にも継承されている (L122条-5およびL211条-3):4–5。フランスでは、政治闘争を通じて表現の自由が獲得され、その一つとして風刺は重要な権利として認識された社会背景があり、ウェポン型も広く許容されると解されている。
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