特長とIBMの実装
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 16:42 UTC 版)
「単一レベル記憶」の記事における「特長とIBMの実装」の解説
IBM System/38 と AS/400 (およびその後継システムの、eServer iSeries 、System i 、Power Systems i Edition)など単一レベル記憶 (SLS) の仮想記憶を採用しているシステムは、実行性能が高いという特長がある。 例えば System/38 の実装では、全てのオブジェクトを全ての補助記憶装置に分散して配置し、オブジェクトの格納および検索を極めて高速に行っている。その結果 System/38 では、補助記憶装置の領域が不足することはめったにない。 単一レベル記憶を採用しているシステムはまた実行時に、CPU、主記憶装置、補助記憶装置の間で資源を互いに自由に置き換え合うことができ、性能上のボトルネックを解決する。 System/38(およびその後継システム)では、そのオペレーティングシステム(OS)であるCPF(および後継のOS/400、i5/OS、IBM i)より低水準の、ソフトウェア層 (TIMI; Technology Independent Machine Interface「技術に依存しないマシンインタフェース」の下の層) である SLIC (System License Internal Code) と呼ばれるソフトウェアが単一レベル記憶を実現している。単一レベル記憶を提供しているのは SLIC であり、OS ではない。つまり SLIC はあるデータが主記憶装置上に存在するかどうかを知っているが、OS は単一レベル記憶に関与していないため知らない。 System/38 と AS/400 (およびその後継システム)での単一レベル記憶の実装では、マルチプロセスにおけるプロセス切り換え時の命令数がとても少なく、そのためプロセス切り換えは非常に高速である。この特長のため System/38 と AS/400 (およびその後継システム)は、多数のユーザを同時にサポートする場合や、多くのトランザクションを処理する場合 (トランザクション処理) において、高い性能を実現する。 ファイル操作においては、従来のシステムはファイルのオープンやクローズを多数行うため、余分なディスク操作が発生し、システム全体のパフォーマンスを低下させていたが、System/38 と AS/400 (およびその後継システム)ではその場でファイルを処理するため余分なオーバーヘッドが発生しない。 System/38 と AS/400 (およびその後継システム)での単一レベル記憶では、ページフォールトは2種類ある。データベースフォールトと非データベースフォールトである。 データベースフォールトは、関係データベースオブジェクトに関連するページが現在主記憶装置上に存在しない際に発生する。System/38 と AS/400 ではシステムの中核部分に関係データベース管理システム (RDBMS) を統合しており、関係データベースオブジェクトとして表 (テーブル) 、ビュー、索引 (インデクス) などがある。 非データベースフォールトは、関係データベース以外のオブジェクトに関連するページが現在主記憶装置上に存在しない際に発生する。
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