爆破解体の技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 06:02 UTC 版)
爆破解体では、建物構造の倒壊で上部構造が下部構造を押し潰して破壊が連鎖的に進行するように、綿密に計算された爆発を発生させる。このため確実で誤差のできるだけ少ない方法が取られ、電気的な着火を行うための電気雷管を使用し、爆発物を計画的に設置する。この爆破手順は一種のシーケンサに入力された手順に沿って進行し、施工方法によっては全ての雷管を同時に起爆するのではなく、ある程度の間を置いて起爆させることもある。この場合、既に崩れた部分が先の爆発で強度の低下した部分に落ち込むようになっており、また部分的に原型のまま崩落させ、階下構造を打ち抜くための槌として利用する場合もある。 過去の失敗例では、予期しない経路の爆薬が先に発火、その先の爆薬が起爆用ケーブルの破損によって不発となるなどして、部分的に構造が残ってしまったという事例が見られる。 この施行の際には、幾つかの性質の違う爆薬や火工品が用いられ、指向性のあるものや鉄骨や鉄筋を爆切するもの、またフロアの床面を抜いて崩落を助けるものなどの工夫が見られる。 同技術の初期の頃には、単純に基部構造を発破(ダイナマイトによる爆破)で吹き飛ばし、倒れるに任せるという現在から見れば乱暴極まりない方法が行われていたが、予期せぬ方向に倒れた煙突の爆破では、倒れた際に飛び散った破片などで見物人に死傷者が出た事例もあり、次第に「出来るだけ垂直方向に崩れ落ちる」ように変化していった。現在では過去の破壊データの蓄積にも拠り、柱の倒れる方向や建物全体の崩れ落ちる方向もコントロールすることまで可能になっている。 爆破解体では、予定された方向への倒壊を促すため、発破の事前に鉄筋や鉄骨を切断しておくなどの準備作業を行い、次いで爆薬をセットするための穴をコンクリート構造に穿つ作業が行われる。この際、水平方向にコンクリートを爆砕しても、残った構造の上に上の構造が「乗ってしまう」場合もあるため、上構造をずらせて滑り込ませるために角度をつけて破砕し、上の重量が集中する柱構造が下の構造に乗らずに、より強度の低い床面などを直撃するようにといった工夫が見られる。
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