災害時の車中泊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 06:33 UTC 版)
災害時に家屋損傷などの理由で自宅での寝泊まりが困難になった場合、やむを得ず自家用車で車中泊を行うことがある。かねてより家屋損傷が大規模に発生した地震災害(阪神・淡路大震災や新潟県中越地震など)の際にも見られたが、災害対策基本法においては避難の形態としての車中泊は想定されていなかった。 しかし2016年(平成28年)の熊本地震の際、余震の継続を理由に自宅に被害がなくとも避難した住民が殺到したこと、さらには避難所の耐震性への不安やプライバシーの問題などから半ばやむを得ず車中泊を選択するものが少なからずおり、長期間の車中泊を続ける人たちの中に静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)が多発し、それに起因するとみられる死亡者(震災関連死)が発生して社会問題とされた。 これについて、衆議院議員の井坂信彦の提出した質問主意書に対する政府答弁書(平成28年6月7日受領答弁第309号)においでは、災害時に自動車内に(車中泊により)避難した者を「車中避難者」と位置づけ、災害対策基本法第86条の7の「やむを得ない理由により避難所に滞在することができない被災者」に該当するとして、同法に基づき必要な生活関連物資の配布、保健医療サービスの提供、情報の提供その他これらの者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努めなければならないとの見解を示している。これと前後して、政府では車中避難者に対する新たな指針などを策定する検討に入った。 日産自動車とオーテックジャパンは車中泊避難やレジャーなどの需要に対応する為、NV200バネットをベースとした車中泊仕様車を発売、2020年2月にはミニバンの5代目セレナをベースとした車両を発売した。 2020年に入ると、新型コロナウイルス感染症の拡大により、避難所での「3つの密」への不安から車中泊による避難が注目されており、実際に車中泊による避難を想定した訓練も行われている。
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