漱石と病気
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 04:44 UTC 版)
漱石は、歳を重ねるごとに病気がちとなり、肺結核、トラホーム、神経衰弱、痔、糖尿病、命取りとなった胃潰瘍まで、多数の病気を抱えていた。『硝子戸の中』のように直接自身の病気に言及した作品以外にも、『吾輩は猫である』の苦沙弥先生が胃弱だったり、『明暗』が痔の診察の場面で始まっていたりするなど、小説にも自身の病気を下敷きにした描写がみられる。「秋風やひびの入りたる胃の袋」など、病気を題材にした句も多数ある。 酒は飲めなかったが、胃弱であるにもかかわらずビーフステーキや中華料理などの脂っこい食事を好んだ。大の甘党で、療養中には当時貴重品だったアイスクリームを欲しがり、ついには家族に無断で業務用アイスクリーム製造機を取り寄せ、妻と大喧嘩になったこともある。当時出回り始めたジャムもお気に入りで、毎日のように舐め、医師に止められるほどだったという。 胃弱が原因で頻繁に放屁をしたが、その音が破れ障子に風が吹きつける音にそっくりだったことから、「破障子」なる落款を作り、使用していたことがある。 また、漱石は天然痘(疱瘡)にかかっており、自分の容姿に劣等感を抱いていた。しかし当時は写真家が修正を加えることがよく行われており、今残っている写真には漱石が気にしていた「あばた」の跡が見受けられない。
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