滑り止めワックス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/11 06:13 UTC 版)
クロスカントリースキーのクラシカル走法では、雪上で静止摩擦によるトラクション(英語版)がかかるように、スキーにグリップワックス(キックワックスとも呼ばれる)を使用する。これにより、平坦な場所や上り坂で前方に進むことができる。ワックスはグリップゾーン(キックゾーンとも。スキーのキャンバーによって形成される、スキーヤーの足裏の領域)に塗られ、やや前方へと延ばされる。キャンバーの存在により、一方のスキーに荷重がかかってスキーが十分に曲がっている場合には雪へのグリップを得るが、両方のスキーへの荷重が均等で完全には曲がっていない場合には抗力が最小限に抑えられる。グリップワックスは特定の温度範囲と雪のタイプに合わせて設計されており、グリップワックスを正しく選択すれば、スキーヤーの体重と雪のコンディションに適したキャンバーはスキーの滑りをそれほど低下させない。グリップワックスとして使用されるものには、ハードワックスとクリスターの2つがある。 ハードワックス:混合物を含んだ、伝統的なパラフィンワックスベースの物質。雪の結晶が圧雪や凍結融解による変化をほぼしていない、比較的新しい雪用。混合物には染料、樹脂、ロジンなどが含まれ、ワックスの硬さは、特定の温度範囲(摂氏約-30度から0度)におけるグリップの効果に応じて調整されている。ワックスはその温度範囲別に色分けされている。硬いグリップワックスは、温度の低い雪用に設計されているが、高い温度ではグリップが不十分となる。逆に、低温での軟らかいワックスは、融解層が雪の凍結付着を蓄積、促進するに十分なほど摩擦と融解を生じさせる。 クリスター:ロジン、蝋、溶剤、脂肪が配合されたような粘着性の軟膏。凍結融解や風化によって結晶が変形したザラメ状の雪と、特定の温度範囲に合わせて調整されている。スプレー式クリスターは、チューブから塗るものよりも便利である。クリスターと雪のコンディションが正しく一致しない場合も、着氷が発生するおそれがある。 一部のスキーは「ワックスレス」で、鱗などの質感をもち、スキーが後方に滑るのを防ぐ。山岳スキーでは、登行時にクライミングスキンを接着してグリップを得、通常は滑降時にそれを取り外す。 ワックスのキャニスター(画像左)を使用して、スキーにグリップワックスを塗り込む。 コルク(右手前)を使用して、グリップワックスを滑らかにする。
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