溶血の問題点と利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/08/04 03:08 UTC 版)
医療上、輸血や血液検査などのために採血を行ったときや、赤血球を利用した実験(ウイルスによる血液凝集反応の確認など)を行う場合、溶血はしばしば望ましくない結果をもたらす。溶血が著しい血液は輸血に用いることが出来ず、また検査や実験の結果に影響を与えて、その結果の信頼性を失わせ、実験や検査の失敗につながる。生体内において溶血が起きると(in vivo溶血)、細胞の破壊によって赤血球が不足して、貧血などの原因になることがある。詳細について溶血性貧血を参照のこと。 一方、溶血は肉眼でも容易に観察が可能な現象であることから、生物学実験や検査医学の分野では古い時期から利用されてきた。蒸留水中で起きる溶血は、浸透圧と半透膜の性質を理解するためのモデルとして、しばしば教材等に利用されている。細胞膜に傷害を与えるかどうかを指標とした、細胞毒性の簡便なスクリーニングに利用することも可能である。また、化膿レンサ球菌感染の指標となる抗ストレプトリジンO試験(anti streptolysin O, ASO, ASLO) も、従前は溶血を指標とする検査法が一般的であった。このほか、細菌学の分野ではさまざまな細菌を鑑別同定し分類するために溶血性の確認が利用されている(次節を参照)。
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