準同型と同型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 14:52 UTC 版)
G, H をリー群(実なら双方とも実、複素なら双方とも複素)とする。写像 f: G → H がリー群の準同型であるとは、f は抽象群としての群準同型であって、かつ f が解析的であるときにいう。ただし、f が「解析的」であるという条件を「連続」であるという条件に弱めても定義としては同値になることが示せる。文脈上リー群の準同型であると明らかなときは単に準同型とよぶ。リー群準同型の合成はまたリー群準同型である。全ての実リー群のなす類、あるいは全ての複素リー群のなす類に、それぞれの意味でのリー群準同型を射と見なしてリー群の圏ができる。二つのリー群が同型であるとは、その間に全単射なリー群準同型で、その逆写像もまたリー群準同型になるようなものが存在することをいう。同型なリー群同士を区別する必要は実用上はなく、それらは単に元の表し方が異なるだけだと考えられる。 リー群の準同型 f: G → H は付随するリー環たちの間の準同型 L i e ( f ) : L i e ( G ) → L i e ( H ) {\displaystyle \mathrm {Lie} (f)\colon \mathrm {Lie} (G)\to \mathrm {Lie} (H)} を引き起こす。したがって、リー群をそれに付随するリー環へ移す対応 "Lie" は関手である。 アドの定理の一つの形は、有限次元リー環は行列リー環に同型であると述べられる。有限次元の行列リー環に対しては、それを付随するリー環にもつような線型代数群(行列リー群)が存在するので、したがってどんな抽象リー環もある行列のリー群のリー環として記述することができる。 リー群の大域的構造をそのリー環によって完全に記述することは一般にはできない。たとえば Z を G の中心に属する任意の離散群としてやると、 G と G/Z は同じリー環をもつ。しかしながら連結リー群に関しては、それが単純、半単純、可解、冪零あるいは可換となることが、付随するリー環の対応する性質が成り立つことに同値であるということができる。 リー群が単連結であることを仮定すると、その大域的構造はそのリー環によって完全に決定される。任意の有限次元リー環 g に対して、単連結リー群 G でそのリー環が g であるものが同型を除いて唯一つ定まる。さらに、リー環の準同型は対応する単連結リー群の間の準同型へ一意的に持ち上げられる。
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