減衰係数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/11 07:02 UTC 版)
減衰係数は、異なる媒質間で入射超音波振幅が周波数に依存してどれだけ減衰するかを表わすために用いられる。減衰係数 ( α {\displaystyle \alpha } ) を用いて媒質による総減衰を dB の形で次のように表わすことができる。 Attenuation = α [ dB / ( MHz ⋅ cm ) ] ⋅ ℓ [ cm ] ⋅ f [ MHz ] {\displaystyle {\text{Attenuation}}=\alpha [{\text{dB}}/({\text{MHz}}\cdot {\text{cm}})]\cdot \ell [{\text{cm}}]\cdot {\text{f}}[{\text{MHz}}]} この方程式が表わすように、減衰は媒質長と減衰係数の他に、入射超音波ビームの周波数にも線形に依存する。減衰係数は媒質によって大きく異なる。ただ、医療用超音波撮像技術においては、媒質は水であることが最も多い。一般的な生体物質の 1 MHz における減衰係数を以下に示す。 物質 α ( dB / ( MHz ⋅ cm ) ) {\displaystyle \alpha ({\text{dB}}/({\text{MHz}}\cdot {\text{cm}}))} 空気 1.64 (20 °C) 血液 0.2 皮質骨 6.9 骨梁骨 9.94 脳 0.6 乳 0.75 心臓 0.52 結合組織 1.57 象牙質 80 エナメル質 120 脂肪 0.48 肝臓 0.5 髄質 0.5 筋肉 1.09 腱 4.7 軟部組織(平均) 0.54 水 0.0022 音エネルギー損失には、吸収(英語版)と散乱の二つの種類がある。均一(英語版)媒質中を伝播する超音波は吸収のみを起こし、吸収係数のみによって記述することができる。不均一(英語版)媒質中を伝播する場合は散乱の影響を考慮する必要がある。損失を考慮した音波の伝播をモデル化するには分数次微分波動方程式を用いることができる。これについては音波減衰の項および出典を参照されたい。
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