海上自衛隊のCIWS選定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 06:14 UTC 版)
「CIWS」の記事における「海上自衛隊のCIWS選定」の解説
対艦ミサイルを物理的に無力化する方法としては、ミサイルの誘導、操縦機能を破壊するコントロール・キルと、弾頭を直撃破壊するウォーヘッド・キルが考えられる。 海上自衛隊がCIWSを導入するに当たっては、前者の武器体系であるイタリアのダルドシステム(現行の砲システムの延長であるため、導入はスムーズに行われるはずと考えられた)と、後者であるアメリカのファランクスが比較検討された。なお、シグナール社にも訪問したと伝えられるが、同社のゴールキーパーは候補とされていない。 しかし、ダルドシステムは評価が未了であり、実績という点(当時の海上自衛隊の砲システムの実績からしても理論どおりには命中しないと想像された)で導入するのに躊躇せざるを得ないこと、また、コントロール・キルでは、コントロールシステムを破壊してもミサイルはそのままの進路で飛来し、艦に損害を与える可能性があること、また、実際にコントロール・キルされているかどうかの確認が難しいことなどから、ウォーヘッド・キルであり、アメリカ海軍で徹底的な評価に合格しているファランクスが選定された。 しかし、ファランクスの20mm バルカン砲が使用する、通常の装弾筒付徹甲弾(APDS)ではミサイルの弾頭を確実に破壊するには威力不足であり、一方、アメリカ軍で採用している貫徹力の高い劣化ウラン弾は国内事情から導入が難しく、その点がファランクス導入の障害となっていた。だが、日本同様劣化ウラン弾を導入できないオーストラリアにおいてタングステン弾で代用しても目的が達成できるため採用したという情報を得、日本でも技術研究本部にてタングステン弾を開発することにより、ファランクス導入の決定がされた。最初のファランクスは、1981年就役の護衛艦「くらま」に搭載された。 その後、タングステン弾は86式20mm機関砲用徹甲弾薬包として実用化、導入された。この砲弾が導入されるまではHE弾が使用されていた。
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