注目すべき違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/01 01:33 UTC 版)
「シュライヒャーの寓話」の記事における「注目すべき違い」の解説
テキスト間の違いの一部は、単に綴りの慣習の違いによるものである。例えばwとu̯は同じ子音的uを指す。しかし、それ以外の違いの多くは、印欧祖語の音韻論や形態論に対する見方が大きく異なることによるものである。 シュライヒャーの再建では、a/i/uの母音組織が想定されており、o/eの母音組織は2次的なものと考えられていた。彼の印欧祖語観は現代のものよりずっとサンスクリット語に近いものであったといえる。 ヒルトはo/eの母音組織と、成節子音(英語版)、唇軟口蓋音、硬口蓋化音を導入した。 レーマンとズグスタはいくつかの意味素(関係代名詞kʷesjo、「人間」を意味するnēr)を置き換え、加えて喉音を認める方向に一歩踏み出した。彼らが印欧祖語の単一の喉音として認めていると思われるh (wl̥hnā)を使っているのが特徴である。 アダムスは自身の版の寓話において喉音理論を完全に反映した最初の作者となった。テキストから判断するに、4つの異なった喉音の形態素を仮定しているようだ。結果的に、アダムスのテキストにはもはや長母音āは出現しない。 コルトラントによる版では、多くの点において先立つテキストから大胆な変更が行われた。まず彼は声門化理論に従って、声門化破裂音をアポストロフィを後ろに並べることで表し、有声帯気破裂音を除外した。次に、抽象的な喉音記号を想定される音価で置き換えた。つまり、h1 = ʔ (声門閉鎖音), h2 = ʕ (有声咽頭摩擦音), h3 = ʕʷ(円唇化咽頭摩擦音)である。またコルトラントは多くの動詞と名詞語句のアプラウト階梯について、他の学者と異なる考えを持っている。
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