氷コップの種類と特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/01 20:08 UTC 版)
素材は、主にソーダ石灰ガラスが用いられている。透きガラス以外に、さまざまな色ガラスも単独または組み合わせて用いられた。紫外線を当てると、着色剤として用いられたウランやその他の不純物による、緑色の蛍光を示すものも多く見られる。 製法としては、宙吹き、型吹き、プレスが用いられた。ただし、カップの部分とステム・フットの部分で別の製法を用いたハイブリッドのものも生産された。 形状は、氷を入れるカップの部分とステム・フットの部分からなる。氷皿や蜜豆用の小鉢についても広義に氷コップという呼び方が用いられている場合も見受けられるが、昭和初期(1930年代)の佐々木硝子の型録では、ステム・フット付のもののみを"氷コツプ"と呼んでいた。カップの部分の形状によって、なつめ(棗、夏目)型、碗型、ラッパ型、リン(ベル)型等に分類される。サイズは、各形状ごとにおおよそ同じである。 形状以外の意匠において、特に手吹きの氷コップの意匠については、パーツにより異なる色ガラスを用いたり、カップの部分に文様を施すなど、変化に富んでいる。これは日本の大正時代頃の様々なガラス製品にも見られるが、特に氷コップや蜜豆鉢に顕著である。 カップの部分に施された文様としては、使用される技法により実現されたものと、オパルセントグラス(オパールガラス、オパーセリン)によるあぶり出し技法を使って様々な文様を描いたものがある。 文様を描くのに使用されたガラスの技法としては、宙吹き製のものについては、あぶり出し、暈し、掻き揚げ/マーブル、吹雪/色吹雪、千筋巻き/糸巻き、象嵌、飛線(とびせん、通称:めだか)、色被せなどがあり、単独または組み合わせて使用された。型吹き製やプレス製のものでは、主にレリーフによって様々な文様が描かれた。 オパルセントグラスを用いたあぶり出し技法を用いて描かれた文様には、伝統的な和の文様が多く用いられ、その種類は多い。市松、水玉、玉垂れ、七宝繋ぎ、輪繋ぎ、籠目、鱗、卍くずし、十字絣、亀甲/毘沙門亀甲、矢羽、梅鉢紋といった着物等に用いられた文様や、具象模様として、蝶と菖蒲、桜花、波千鳥、柳に燕などがある。
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