死刑囚KMの国賠訴訟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 15:49 UTC 版)
「大阪・愛知・岐阜連続リンチ殺人事件」の記事における「死刑囚KMの国賠訴訟」の解説
被告人KMが収監されていた名古屋拘置所は公判記録などが入った段ボール10箱をKMから預かっていたが、うち3箱を控訴審公判中の2005年4月に廃棄した。その直後、名古屋拘置所はKMから資料の閲覧を求められたため、廃棄に気付いて謝罪したが、KMからコピー代の負担などを申し出られても話はまとまらなかった。これを受け、死刑囚KMは死刑確定後の2011年5月に「必要不可欠な資料を廃棄され精神的苦痛を受けた」として国を相手取り、約600万円の損害賠償を求めて名古屋地裁へ国家賠償請求訴訟(国賠訴訟)を提訴した。 死刑囚KMとその弁護人は2011年9月 - 2014年6月にかけ、名古屋・東京両拘置所で再審請求・民事訴訟の打ち合わせを行ったが、その際に職員が立ち会わない面会を求めても認められなかったため、死刑囚KM+弁護士2人は「職員の立ち会わない面会を拘置所が拒んだのは違法だ」と主張して国に630万円の損害賠償を求める国賠訴訟を起こした。東京地方裁判所(谷口豊裁判長)は2016年(平成28年)2月23日に「弁護士との『秘密面会』を拒否できるのは、死刑囚が拘置所の秩序を乱したり動揺したりする恐れがある場合に限られるが、今回はその恐れはなく、(拘置所側の対応は)裁量の範囲を逸脱している。秘密で面会する利益を侵害した」と指摘し、被告・国に対し原告3人へ損害賠償計約53万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。被告(国側)は控訴しなかった一方、原告(死刑囚KM側)は賠償額などを不服として東京高等裁判所に控訴し、東京高裁は同年11月24日に約60万円の支払いを命じる判決を言い渡した。原告(KM側)は最高裁へ上告したが、2017年9月7日付で最高裁第一小法廷(木澤克之裁判長)は上告を退ける決定をしたため、控訴審判決が確定した。 また死刑囚KMがこれと別に(別の弁護人との)計32回の面会(2012年 - 2015年)についても「拘置所職員の立ち合いは違法だ」と主張して国に対し計672万円の損害賠償を求めたところ、東京地裁(林俊之裁判長)は2017年4月13日に「死刑囚が再審請求・国賠訴訟の打ち合わせをする際、国は拘置所職員の立ち会いなしに死刑囚が弁護士と面会ができるよう尊重すべき義務を有する」と指摘した上で「死刑囚側が立ち会いなしの面会を文書などで求めたにも拘らず、32回のうち職員が立ち会った6回には国に賠償責任がある」と判断し、国に約23万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
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