標準語と共通語の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 09:10 UTC 版)
『日本語学大辞典』(2018)では、共通語は「現実に全国で話されている言語」であり、標準語を「共通語をさらに洗練させた規範としての言語」とする見方が一般的であるとする。そして、これを言い換えると、共通語は「話しことば」であるのに対し、標準語は「(専ら規範としての)書きことばに視点を置いた概念である」と述べられている。 塩田(2018)は「標準語」と言ったとき、それが何を指すかについて、3種類に分かれると指摘する。そして、この3種類を「デファクト標準語」、「オーソライズド標準語」、「オーソリティー・コンシャス標準語」と表現した。「デファクト標準語」は、実際に広く使われている言葉を指し、この意味での「標準語」は日本全国で用いられ、特定の地域の特徴を感じさせないものとする。「オーソライズド標準語」とは「国家」などの権威を背景に公的に制定される規範的な「手本」のようなものを指す。そして、これは言葉の使い方に関するルールの役割も果たすとする。「オーソリティー・コンシャス標準語」は「オーソライズド標準語」を強く意識しながら実際に話されるもので、意識的な操作を経た特殊なものとする。 これに対し、「共通語」は、一番広い考え方だと、「デファクト標準語」よりもさらに広いものが含まれるとする。つまり、特定の地域を連想させる言葉(方言等)が用いられていても、それで会話が成立していれば、共通語に含まれるとする。ただ、一般に「共通語」と言う際は、この広い意味で使用することはあまりない。また、人・時・場合によって「共通語」の使い方は異なり、「共通語」という言葉で「デファクト標準語」「オーソライズド標準語」「オーソリティー・コンシャス標準語」のいずれかを指すと指摘する。そして、標準語・共通語について考える際には、この「標準語・共通語」という言い回しがどのレベルを示そうとしているのか、意識的であることが大切だと述べる。
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