標準ズームレンズの歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 19:51 UTC 版)
「標準レンズ」の記事における「標準ズームレンズの歴史」の解説
世界で最初の35mm判(ライカ判)カメラ用標準ズームレンズは、1959年に発売されたフォクトレンダーの「ズーマー36-82mmF2.8」である。 日本国内では、1963年12月にニコンから発売されたレンズ組み込み式一眼レフカメラ「ニコレックスズーム35」に搭載された43-86mmF3.5(通称「ヨンサンハチロク」)である。35mm判の対角線長は43.3mmであり、対角線長を基準とすると広角側の43mmは標準レンズに相当する。しかし、35mm判標準レンズの標準である50mmからすると若干広角である。当初35-70mmで設計を進めていたが、収差補正を行なううちに焦点距離が長くなったという。またそれ以前の1961年にはオートニッコールワイドズーム35-80mmF2.8-4が発表されていた。なお、これらのズームレンズには光学補正方式を採用している。ズーミングにより焦点が甘くなってしまうが、当時は複雑で精密なカムを量産する技術が確立されていなかったため不可避であった。NC(数値制御)工作機械の登場以降はカムによる機械補正方式となり、ズーミングによる焦点の移動は完全に近く補正されるようになる。 ニコレックスシリーズは商業的に成功したとは言えなかったが、ニコンはヨンサンハチロクをニコンF用交換レンズとした「ズームニッコール オート43-86mmF3.5」を発売、ズーム比が2倍で画質も良いとは言えないものの当時単焦点標準レンズの代わりとなる小型軽量のズームレンズは他になく、人気商品となった。 1973年12月に、キヤノンから「FD35-70mmF2.8-3.5S.S.C.」が発売された。この頃から次第にカメラメーカー・レンズメーカーから、50mm前後をズーム域に含むレンズが登場し出す。1970年代後半にはタムロン・シグマ・トキナー・サンなどのレンズメーカーから安価な35-70mmクラスのレンズが発売され、標準ズームが普及するようになった。
※この「標準ズームレンズの歴史」の解説は、「標準レンズ」の解説の一部です。
「標準ズームレンズの歴史」を含む「標準レンズ」の記事については、「標準レンズ」の概要を参照ください。
- 標準ズームレンズの歴史のページへのリンク